PROFILE


末廣 有唯  -suehiro ayu-



ドッグトレーナーの専門学校を卒業後、当時犬猫合わせて約600頭居る動物保護施設でトレーナーとして約6年間勤務。
その後、24時間スタッフ常勤・ケージフリーのペットホテルで約6年間店長として勤務し、家庭犬が人と暮らす上で必要な経験やトレーニングの重要性を再確認。
2024年、犬猫のお世話が好きなためペットホテルの経験を生かしたシッター業と、問題行動が原因で捨てられてしまう犬が減ることで殺処分ゼロに貢献したいという思いでトレーナーとして活動していくことを決意。

生年月日/1991年1月8日
好きな事/犬と昼寝、食べる事
苦手な事/早起き、雨
資格/PSG家庭犬しつけ訓練指導員A級
   PSGペットアドバイザー
   PSGトリマーズライセンスC級


ご挨拶・犬への想い



私は、小さい頃から動物が大好きで周りの女の子たちがおままごとやセーラームーンに夢中になっている中、一人で動物図鑑や犬種図鑑に夢中でした。
知らない犬の散歩に勝手に着いて行き迷子になること数回、、、近所の野良猫達の写真を撮って名前を付け、ノートに誰がどのくらい食べたのか記録をつけながらお小遣いで買った猫缶やミルクをあげて回るのが好きな少しばかり変わった子供でした。(当時はTNR活動を知らなかったので今思うと不幸な猫を増やしてしまっていたかもと反省しました。)
犬猫の虐待や殺処分の事実を知ったのも小学生の頃。授業中にこっそり読んでいた漫画で悲惨な現実を知りショックで号泣、、、先生には叱られましたが、現実から目を背けてはいけないことを学びました。
幼いながらに感じたその時の悲しみ・怒り・憤りが私をドッグトレナーの道へと導いてくれました。

ドッグトレーナーの専門学生の時に研修に行っていた保護施設で念願のトレーナーになってからは保護されてきた体格も性格も個性豊かな犬たちと関わってきました。
怖がりな子、攻撃性のある子、引っ張りの強い子など家庭で生活する上で問題のある子をトレーニングすることで里親に出るチャンスを広げることが出来るのでとてもやりがいを感じる仕事でした。
ただ、どうしても保護施設なので一般家庭から「問題行動があるからもう飼えない。引き取って欲しい。」という相談が毎日信じられないほど寄せられ、問題行動が原因で手放したいと相談される家庭へ出張トレーニングに行ったり、預かり訓練をしたりするのも私の仕事でした。
犬はトレーニングをとっても頑張ってくれるのですが、多くの飼い主さんはもうその犬に愛情が無く、いくら犬をトレーニングしても手放したいという気持ちを変えることはとても難しかったです。
「終生飼育」全ての人がこれを守れていれば保護犬、保護猫はこんなにも沢山存在しません。
犬に変わって欲しいと願う前に自分が変わる努力、犬を知る努力、練習する労力を惜しまない飼い主にならなければいけません。
自分は努力しないけど犬にはお利口になって欲しいなんて都合のいい話ありません。

よく、子犬からでないと躾は入らないと聞きますが、私はこの保護施設から犬を5頭引き取ってきました。(2024年現在)
全員子犬からではなく成犬になってから迎えたり、老犬になってから迎えた子も居ます。
どの子も問題を抱えていた子ですが、真摯に向き合うことで問題は改善され、素晴らしいパートナーになってくれました。

この子はコロ。柴犬のオスで左の写真は保護施設にて(当時9歳)。右は家族に迎え入れた後のコロ(13歳)。
コロは9歳の時に元飼い主から「噛むから処分してくれ」と保健所へ持ち込まれました。
その攻撃性から【譲渡対象外】と判断され一般家庭へ引き出すことが出来ない子でしたが、保健所のボランティアさん達のおかげで施設に保護することが出来ました。
保護された当時は本気で噛むため触ることも出来ず、自傷行為もありエリザベスカラーを付けっぱなし、リードの付け替えも出来なかった為犬舎に繋がれているチェーンを犬舎からなんとか外して散歩へ連れ出しても急に怒り出して足を噛まれる状態でした。
噛まれないようにハンドリングしながらトレーニングをしていくと次第にコロの目付きが変わり、ブラッシングやシャンプーなどのケアも出来るようになり、初めて出会った時のコロとはまるで別の犬のようになりました。
それでも歳をとったコロに里親の声は掛からず、施設でてんかん発作を起こすようになりました。
病気持ちの老犬はなかなか引き取り手が居ないのが現実です。
施設では引き取り手が居なくても最期までスタッフに大切にお世話されますが、元飼い主から保健所に持ち込まれたコロに本当の愛情を知ってもらいたくて13歳の時家族に迎えました。
家族に迎えてから更に表情が明るく優しくなり、噛むことは一度もありませんでした。
脳腫瘍があり15歳の時に亡くなってしまったので2年と少ししか一緒に過ごせませんでしたが、一緒にいた時間の長さに関係なくコロと私の信頼関係は確かなものでした。

この子はケント。20キロの雑種のオスで左の写真は保護施設にて(当時推定8歳)。右は家族に迎えた後の写真(当時推定9歳)
ケントはホームレスの方が飼われていた子で、その方が入院することになりリアカーに繋がれたままになっていると通報が入り保護されました。
ホームレスの方と犬の絆は強く、そして他の人と関わっていない分飼い主(ホームレスの方)以外の人への警戒心が強く現れます。
ケントも保護当時は近づくだけで唸り、触ろうとすれば噛んで身を守ろうとする。怖さから来る攻撃を見せるタイプの子でした。
先ほどのコロとはまた違った原因の攻撃性です。
最初は人も犬も受け入れないケントでしたが、トレーニングをすることで許容範囲が広がり、とっても優しい甘えん坊に変わりました。
見た目がどタイプだったこともありケントも家族になりました。
施設でトレーナーをしているとこういう保護された犬の表情の変化を目の当たりにします。
トレーニングを「可哀想」と思っている方も多くいると思いますが、この2頭の表情の変化でもお分かりいただけるはずです。
トレーニングを受ける前とトレーニング後、どちらの表情が可哀想に見えますか?
不安や怒りを自分自身でコントロールすることも出来ず周りを警戒して常にピリピリしているよりも、不安や怒りを感じた時に落ち着かせてくれて安心・安全を与えてくれるリーダーの存在がある方が圧倒的に犬はリラックスして過ごせます。
トレーニングは犬の自由を奪う物ではなく、犬を守るために必要なものです。
愛犬を守ってあげれるのは飼い主しか居ないのです。

私は、コロやケントのおかげで何歳になっても信頼関係が築ける事、人の都合で【譲渡対象外】のレッテルを貼られた犬でも素晴らしいパートナーになれる事を教えてもらいました。
今の日本では、保健所で【譲渡対象外】と判断されてしまった犬は一般譲渡のチャンスも与えてもらえず殺処分されてしまいます。
しかも、【譲渡対象外】の犬は殺処分された数にもカウントされません。
譲渡対象の犬が処分された時のみカウントされるのでは本当の殺処分ゼロとは言えません。
つまり、トレーニング前のコロやケントが保健所に居た場合、間違いなくカウントされることなく処分されていたでしょう、、、
幸せになるチャンスも公平にもらえずに奪われる命があってはならない。
私はそんな想いからトレーナーに戻り、たとえ微力であっても本当の殺処分ゼロに向かって自分ができることをやろうと決意しました。



今後の目標



私は、トレーナーとシッターで頂いた資金を元に私に出来る範囲での保護活動をしていきたいと思っています。
保健所で譲渡対象外とされてしまった犬を引き出してトレーニング・リハビリをし、新しい家族へ繋ぐ活動が目標です。

譲渡対象の犬はボランティアさんもお世話や人慣れを手伝うことができますが、攻撃性があって譲渡対象外とされた犬は噛まれるリスクが大きいため一般のボランティアさんがその犬に関わることが出来ない場合があります。
そんな時に力になれるトレーナーでありたい。
噛む犬に対して譲渡は難しいと判断するのでは無く、噛む犬にも譲渡のチャンス、生きる道を示してあげれるトレーナーでありたい。
そしていつかは保護を必要とされる犬や猫が居ない世界になってほしい。
それは”人の都合で命が捨てられない世界”
矛盾しているようですが、そんな日が来ることを信じ、私も保護活動を懸命にされている方達の一員になる事を目標としています。